第3章 今の寝言は、特別に…聞かなかった事にしてあげる
「大体、キミは人の事言えないと思うけど。こないだ3徹して、限界まで頑張って気絶するみたいに寝落ちしてたくせに。頑張り過ぎなんだよ」
『あ、あれは…貴方達の為に、少しでも良い曲を作りたいって思ったからであって!だから、TRIGGERに相応しい楽曲を提供する為です!』
「…なぁ。あいつら喧嘩してんだよな」
「う、うん。そのはず…。でもなんか、凄い褒め合ってるよね」あはは
『それに…
貴方はアイドルで、私はプロデューサー。これが全てです』
私の代わりはいくらでもいる。体を壊しても、悲しむファンはどこにもいない。
でも、彼は?彼が倒れでもして 歌が歌えなくなってしまったら?ステージで踊れなくなってしまったら?
「は?それが、自分は良くて、ボクが駄目な理由?そんなのは認めない。キミがなんと言おうと、ボクが目指す完璧に到達するまでは休みなんて必要ない!」
『…そんな子供みたいな事を言わないで下さい』
「ボクは子供じゃない」
『自分は子供じゃない、なんて言う大人はいないんですよ』
「……っ、
もう、これ以上の会話は必要ない。ボクは明日に備えて帰る!」
彼はいよいよ怒りを爆発させて、大きな音を立てて扉を閉めた。
『………』
ぽん。
と、楽が後ろから 私の肩に手を乗せる。
「良い事教えてやろうか」
『…ぜひ』
「天に “ 子供 ” は禁句だ」
『…そうなんですか?それ1分前の私にも、教えてあげて下さいよ』
「はっ。あんた意外と面白い事言うな。じゃ、俺も帰る」
「天…大丈夫かな。ちゃんと体を休めてくれれば良いけど…。じゃあ中崎さん。お疲れ様」
龍之介と楽も、この部屋を出て行った。
私以外の人がいなくなった部屋で呟く。
『あー……やっちゃったなぁー…』はぁ