第22章 私にも、出来るでしょうか

パソコンの検索履歴には、不穏なワードが並んでいる。

《 千葉志津雄　隠し子 》
《 千葉志津雄　愛人 》
《 千葉志津雄　不倫 》


しかし、当たり前のように 目ぼしい検索結果は出てこない。


『…ま、当然か。上手い事隠したよなぁ、本当に』


私は、検索履歴を完璧にデリートして呟いた。

そして改めて “ 千葉志津雄 ” とだけ検索欄に記入してエンターを押す。
するとすぐに、何度も読み込んだ文面が画面に映し出された。


千葉志津雄。
星影芸能事務所に所属する俳優。時代劇などに幅広く出演している大御所俳優で、海外での知名度も高い。
彼を語る上で、ミュージカル「三日月狼」はやはり外せないだろう。千葉志津雄演じる、月館信八郎は圧巻。まさに銀幕界を震撼させた。

当たり前だが、二階堂大和の名前など、どこにも出てこない。


『出てこないけど…。この三白眼、やっぱりよく似てる』



IDOLiSH7の寮で彼を見た時から、ずっと気になっていた。彼の、二階堂大和の顔を見た時から ずっと。

そして、色んなコネや事務所の力も借り、ついにその違和感の正体を突き止めた。

情報を提供してくれたのは、いま現在、楽のドラマ撮影を取り仕切っている監督だ。
彼と親密になる為、何度も仕事場へ赴き、飲みの場などを設けた。その甲斐あって、ようやく監督は重い口を開いた。


“ 最近デビューを果たしたIDOLiSH7。リーダーの二階堂大和は、千葉志津雄の隠し子だ ”

と。