第21章 キミがいてくれて、良かった
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「九条様ですね。お話は伺っております。すぐに検査をいたしますので、こちらのレントゲン室にどうぞ」
姉鷺が、事前に話を通しておいてくれたのだろう。病院に着いてからは、意外なほどスムーズに事が運んだ。
バインダーを持った白衣の女性に続いて、天が処置室に入って行こうとする。
『すみません、私も付き合っても良いですか?』
看護師に尋ねると、困ったような笑みを返された。それを見ていた天が私に言う。
「あのね。レントゲン室にキミが付き添ったところで、何が出来るの?」
『え…?例えば…手を握っているとか?』
「馬鹿なの?」
『……』
「とにかく、プロデューサーはここで大人しく待ってて」
一部始終が終わるまで、待っていてくれた看護師が笑う。
「とても仲がよろしいんですね。プロデューサーさんとTRIGGERのメンバーって」
「そうですね。彼にはとてもお世話になっていますし。ボク達にとってプロデューサーは、大切な仲間も同然なんですよ。
まぁ今見て頂いた通り、少し過保護なところもあって ちょっとだけ困る時もあるんですけどね。ふふ」キラキラ
「っっ!!」
(ぐはぁ!!生 九条天の天使の微笑みぃ!!)
極上の天の笑顔をくらい、その場でフラつく看護師。
やがて 天をレントゲン室へ促すと、2人して中へと消えて行くのだった。そんな背中を私は見送る。
『………』
今にも鼻血を吹き出しそうだったが。あの人に、天を任せて本当に大丈夫だったろうか…