第20章 出来ますよね。貴方達なら
名古屋でのライブを終えたTRIGGERと私達は、大阪へと降り立った。ついに、長かったツアーも 残すところはここ、大阪のみ。
しかし翌日は、ライブを行わない。
「今まで ぶっ続けでライブやってきたのに、名古屋と大阪の間だけ、わざわざ中1日空けた理由はなんだ?」
これから説明しようとしていた事を、楽の方から切り出してくれた。
『明日は1日、リハーサルに当てます』
「リハの為に、わざわざ会場を1日抑えたの?」
『はい』
「春人くんの事だから、何か理由があるんだろうけど…。
東京や福岡でのライブみたいに、本番前の時間をリハに当たるだけじゃ駄目だったんだ?」
龍之介の言葉に、頷く。
『大阪の会場 “ Zepp Osaka ” でTRIGGERがライブを行うのは、初めてだからです』
東京や、福岡、名古屋の会場でなら、彼らは歌った事がある。しかしZepp Osakaは、私が出張をした際に見つけてきた会場だ。それはつい最近の話。
当然TRIGGERは、一度もそのステージには立った事がない。
「…ふぅん。そんなにクセの強い会場なんだ?」
天は、顎に手をやったお決まりのポーズで、挑発的に微笑んでいる。
『ご明察』
「Zepp Osaka…キャパシティは5000人。TRIGGERのツアーライブの最後を飾るには、少し小さめかしら。タイプは屋内のシューボックス型。
色んなアーティストが過去にライブを行ってるけど、歌手だけに留まらず、ピアノ単独コンサートやジャズなんかも演奏した事があるのね。とにかくジャンルに縛られてない。
ま、春人ちゃんが わざわざ出張してまで自分の足で見つけて来た会場なんだから、何かあるんでしょうねぇ。楽しみにしてるわ」
姉鷺が 一通りの説明をしてくれたので私の言う事はなくなってしまった。
ちなみに彼は、明日1日フリーである。きっと大阪観光を堪能するのであろう。
『…明日はとにかく。初めての会場を、見て触れて感じて。大阪でのライブを大成功で終わらせる為に、じっくりと時間を使って下さい』