第17章 光栄の至り
翌日。今日は龍之介のデートだ。
そして気になるお相手だが…。これには、私も龍も…というか、TRIGGERメンバーも事務所の人間も全員驚いた。
「今日はよろしく!」
「こちらこそ!よろしくお願いします!」
当選者は、男性だった。
いや、彼らには男性ファンが全くいないわけではないが。比率で言うと圧倒的に女性が多い。
しかも、彼が購入したCDは1枚なのだ。彼は見事に、たったの1枚で1/33333を引き当てたということ。
これだからガチャ…いや、確率は恐ろしい。
『単発でUR出たりするもんな…稀にだけど』
そんな独り言は、既に盛り上がっている2人には聞こえていない。
「さぁどうぞ。乗って」
「ありがとうございます!」
車は、龍之介が運転する。車内で2人きりにするわけにはいかないので、僭越ながら私も後部座席にお邪魔する。
「龍之介さんは、どこのジムに通ってらっしゃるんですか!?」
「俺は、普段 事務所の中にあるトレーニングルームで鍛えてるんだ」
「なるほど!では、好きな筋肉は!?」
「僧帽筋と、ハムストリング かな!」
「渋いっす!!」
『……』何の会話だ
私は、爽やかに笑う龍之介にシャッターを切った。
「よし!バッティングセンターでホームランを出そう!」
「はい兄貴!」
「次はスポーツッチャでフットサルをやろう!」
「はい兄貴!」
『…………』えーと…
「ありがとう。今日は凄く楽しかったよ」
「こちらこそです!!自分、今日の事は一生の思い出にします!」
なんだこれは、とか。男臭い、とか。これもうデートじゃなくて もはやただの運動、とか。言いたい事は山ほどあったが…
まぁ龍之介とファンが、終始楽しそうだったので良しとしよう。