第16章 泣いてなんて、ないよ
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定時、30分前。
私がここ、八乙女事務所に拉致…。いや、入社してからは、定時退社はほとんどしていない。
やる事ならいくらでもあったし、もっと大きな理由としては、残業代がしっかりと出るから。
最初こそ、恐喝まがいのやり方で入社させられた事に腹が立ち、社長を殴ってやりたいとすら思っていたのだが。
ここまでホワイティな会社だと、次第に怒る気も失せてくる。
理由はどうあれ 私を信頼して、TRIGGERを任せてくれている。だからこそ、私は自分の持てる力と時間を使って こうして今日もパソコンに向かい合っているわけだが…。
だが、いつからだろう。
「ねこ」
天と。
「こあら」
龍之介と。
「らっこ」
楽が。
私の仕事部屋に、入り浸るようになったのは!
「楽、さっきもラッコって言ってたよ。はい、これで 動物しりとりもキミの負けね」
「はぁ?俺がラッコって言ったのは、今のが初めてだ!なぁ龍」
「え?あぁ うーん、俺も記憶が曖昧で…。あ、そうだきっと春人くんの記憶力なら分かるんじゃないか?」
人が仕事をしてる前で、のほほ〜んと しりとりが出来るなんて!彼らは一体どういう神経をしているのだろう。
『知…りませんよ!!私は貴方達の勝負の行く末には、これっぽっちも興味がありません!
仕事もレッスンも終わったのなら、早く帰って下さい!さては暇なんですか?暇なんですか貴方がたは!』
「お、おお…ついに春人がキレた…」
「意外と短気だね」
「流石に、目の前で遊ばれたら気が散るよな?」ごめん