第15章 俺…もしかしたら…、ホモなのかもしれない!
「な、天まで、何、言って」
楽は、目を大きくして天を見る。俺は…頭が真っ白になって、何と言ったらいいのか分からなかった。
「はぁ。お前ら おかしいぜ!あの仕事馬鹿のどこが良いってん」
「仕事馬鹿だから。だよ」
楽の言葉を遮り、天が真っ直ぐな瞳をこちらに向けて俺に語り掛ける。
「プロデューサーと言えど、自分達の為に あれだけ尽力してくれる人間が 一体どれくらいいると思う?少なくともボクは今まで彼ほどの人に出会った事がないよ。
特に龍は、MONDAYの件もあったし。尚更じゃないの?
それに。才能があるだけじゃなく、それを活かす努力も怠らない。だからこそボクは彼を認めてる。これから先、ずっと一緒に仕事をしたいと思う程にね。
そんなプロデューサーに “ 人として ” 惹かれるのは当然じゃない?
“ 人として ” 好きになるのに男も女もないからね」
もしも、本当に目から鱗が出るというのなら。きっと今 俺の目からはポロポロと鱗が落ちている事だろう。
「そうか…、そうだな!!俺は 人として、春人くんに惹かれていたのか!!」
「良かったね」単純
「良かったな」単純
「2人とも!ありがとう!!」
心の中を占拠していたモヤが、スッキリと晴れていくのを感じる。
その時、運転席のドアが開く気配がした。するとすぐに、前方から声が聞こえてくる。
『お待たせしました。すぐに出しますので、シートベルトお願いします』
事務的な指示を飛ばす春人。俺は今の自分の中に溢れる想いをどうしても伝えたくて、運転席に座った彼の元へ 急いで移動する。