第115章 最高のアイドルを
「「結婚!?」」
天と龍之介は声を揃え、楽は仁王立ちで鼻から息を吐き出した。
「で?誰と誰が」
「俺とエリだってさっき言っただろうが!」
「し、新幹線の中でのアレ、冗談じゃなかったのか…!うわぁ!お、おめでとう!!」
龍之介は心なしか薄っすらと涙を浮かべ、両手で私と楽の手を取りぶんぶんと振った。それはもう喜びが全身で表現されており、私達の肩が外れてしまうのではないかと思うくらいに。
「反対、しないのか?」
「えっ?なんで!?」
『TRIGGERの活動に影響は出ますよ。確実に』
「ボクらが反対したら、しないの?結婚。そうじゃないんでしょ」
「当然だ。その程度で揺らぐ覚悟じゃねえよ」
楽の返答に、天はどこか満足そうに瞳を閉じた。龍之介は、頬を紅潮させ終始満面の笑みを浮かべている。
「…楽は、きっと皆んなから祝福してもらえると思う。それは、今までキミがファンに対してずっと真っ直ぐで、真摯に向き合って来たから。
ショックを受ける子もいるだろうけど…それでも、きっと最後には楽の幸せを喜んでくれると思うよ。楽が今まで、ファンの子達の幸せを願ってステージに立っていたみたいにね」
「天…、お前って奴は…!」
「っ、…天はいい子だなあ」
『ぐす』
「ちょ、キミまで涙ぐむのやめてくれない? って…思ったけど。こういう時くらい、いいよね。
おめでとう2人とも。目一杯、幸せにならないと許さないから」
仕事部屋が祝福ムードに包まれる。
私達が最も祝って欲しかった2人に、これ以上ないまでの言葉を貰うことが出来た。喜びから、私と楽の心は熱く震えた。