第111章 それは決して遠くない未来①
パラパラとページを繰っていく。相変わらずここには、まことしやかな情報が所狭しと並んでいる。斜め読みで進めていくとそこには、あの有名なランキングがあった。
抱かれたい男ランキングである。そういえば、一位を獲得した者の写真がこの雑誌の表紙を飾っていた。私はそのページに指を挟んだままにして、雑誌をくるりと翻す。
『うん、やっぱりそうだ』
改めて確認して、ほんの少しだけ目を細めた。
ランキングの内容は既に把握していたが、改めて順位をさらう。過去に1位を獲得したことのある虎於は、コンスタントに上位にいるし、やはり環や巳波の名前もよく見かける。
加えて最近は、天や悠もランクインするようになっていた。男子三日会わざれば刮目して見よとはよく言ったもので、彼らの成長は凄まじい。いつの間にか、大人の色気を醸し出すようになっていた。
勿論それは喜ばしいことであるが、私の胸は少しだけ痛んだ。当たり前のように長らく1位に居た男の名前が、見当たらなくなったからである。
まぁ当の本人は、そんなことは全く気にしていないというふうに幸せオーラ溢れているのだが。
私はスマートフォンを取り出した。ふと、待ち受けにしている写真が見たくなったから。
そこには、笑顔を浮かべる25人が肩を寄せ合っている姿があった。
『あれから、もう1年だもん。早いよなぁ、本当に』
1人懐かしんでいたところに、受付から私の名前を呼ぶ声が聞こえる。
「八乙女さん、八乙女エリさーん」
『はい』
私はスマホを懐にしまい、腰を上げた。