第15章 俺…もしかしたら…、ホモなのかもしれない!
『………は?モデルが、来ない?』
突然だが、現在進行形で私達はどえらい問題に直面していた。
「じゃあ、もしかして…撮影は延期?」ほっ
「おい龍。お前いまホッとしただろ」
今日は撮影の予定だった。
抱かれたい男ランキング1位から10位までの男達を集めて、写真集を作ろうという企画が持ち上がっているのだ。
この度めでたく、抱かれたい男ランキングにて、ワン ツー フィニッシュを決めたこの2人。当然、多くのページ数を割り当ててもらえて、撮影に臨む…予定だったのに。
「なんか、渋滞に巻き込まれたらしくて…。いつ到着出来るか、目処が立たないらしいんだよ」
スタッフは申し訳なさそうに私達に説明してくれる。彼が悪いわけではあるまいに。
本来ならこの場には、女性のモデルがスタンバイしているはずだった。
楽と龍之介。それぞれ1カットずつ、女性との写真が載る予定なのだ。
龍之介は、キスシーン。楽はベットシーンが。勿論、本当にするわけではないし、女性の顔は写真集には載らない。女性を扱う際の、彼らのセクシーな表情を撮るのが目的なので、写ってもせいぜい後ろ頭や、肩口程度だ。
『………』
「で、どうする春人」
選択肢は、いくつかある。
まず1つは、このままモデルが到着するのを待つパターン。
もう1つは、今日は解散して また撮影の機会を改めるパターン。
「今日は帰ろうか?撮影はまたの機会に…」
女性とガッツリ絡みのある撮影が延期になりそうで、ホッとしている龍之介には悪いが…。
『私…他人のせいで自分の仕事に悪影響が出るのが、堪らなく嫌なんですよね』
意地でも今日、撮影を行わせてもらう。