第109章 ……………あ
おまけ
●虎於の10分間
『もしもし』
《 エリ、久し振りだな 》
『うん。虎於と、あと他のメンバーや宇都木さんは元気にしてる?』
《 あぁ。だが、お前の方は大変なことになったな 》
『そうなんだよね。あ、こんな貰った電話で伝えるのは失礼かもしれないけど、ありがとうね。記者会見の場所、御堂グループのホテル貸してくれるって了さんから聞いた』
《 なんだそんなことか。あんたの戦場になるんだ。とっておきの部屋を用意してやるよ 》
『ありがとう。感謝してる』
《 あぁ 》
『……えと、じゃそろそろ。実は今ちょっとだけ立て込んでて』
《 待て 》
『まだ何かあった?』
《 あ、ある 》
『何?』
《 今日は…あれだ。良い天気だったよな 》
『曇ってたけど?』
《 曇っ…ってたが、なんかこう、良い感じだったろう!雲の形とかが!》
『??ごめん、用事がないならもう切るね』
《 おい待て。お前は、俺と話すよりも九条や和泉といる方を選ぶのか?》
『私があの2人と居たこと何で知ってるの!』
《 ふ。あんたのことは、直接見てなくても大体分かるんだよ。これも愛のちか 》
『怖い怖い!』
《 最後まで聞けよ!ま、まぁいい。天気の次は、えっと…》
『ねぇ?話す内容メモでもしてるの?ねぇ?』
《 今日の昼は、何を食ったんだ?》
『アメリカンドックとトンカツと串カツ』
《 カロリーが爆発してるな!》
『戴いたケータリングの余りで済ませたからねえ』
《 ……話題が尽きちまった 》
『ならもう切らせて!?』
《 なぁ、エリ 》
『なに!』
《 逃げたいとは、思わないのか?》
『え?』
《 あんたがもし、運命とか辛い現実から逃げたいなら俺が連れ出してやる。ただ一言、もう嫌だと言うだけでいい。そうすれば俺が お前の手を引いてどこまでだって、どこへだって一緒に逃げてやる 》
『ありがとう。でも大丈夫だよ。確かに少し怖いけど、私は1人じゃないから。心強い味方が沢山いるからね。勿論、虎於も含めて』
《 …あぁ。俺は、世界中がエリの敵に回ろうが、絶対にあんたの味方だよ 》
『ありがとう。虎於』
「……10分間、意外と短いもんだな」