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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第108章 待ってられるかそんなもん




「ワタシは、何も出来なかった部外者に過ぎません。そんな部外者の戯言を、もう少し聞いていただけますか?」

「当然だろ。話してくれ」

「THANKS.
彼女は、アナタ達が考えるよりも危うい立場にあります。もしも彼女が、窮地に立たされてしまったその時は…
今度は、アナタが彼女を救ってください。どうか、お願いします」


いま思えば、ナギは誰よりも早く勘付いていたのかもしれない。

後にLioという存在と俺達TRIGGERは、世間の大きな渦の中に巻き込まれていく。そのことに。


「言われなくても、その時は絶対に俺があいつを守るよ。何に代えても。どんな手を使っても」


胸の前で、拳をきつく握って俺は言い切った。それを見たナギは、長い睫毛を伏せる。


「その言葉が聞けて、とても安心しました。
彼女には、とても返し切ることの出来ない大きな大きな恩義があります。だからどうか、彼女を傷付けるこの世の全てから、アナタのその手で包み込み 守り抜いてください」

「任せとけ」

「YES. さすが、数多のライバルを跳ね除けた男の言うことは違います」

「ははっ。だろ?」

「ですが、まだ油断は禁物ですよ?ワタシの見立てでは、まだ2人の関係性は何も変わっていない」

「う…、部外者のくせに、よく見てるじゃねぇか…!」


痛いところを突かれ、俺は思わず顔を引きつらせてしまう。そんな俺に、ナギは綺麗なウィンクを投げた。


「ワタシのこと、愛の伝道師とお呼びくださっても結構ですよ?」

「結構だ」


やがて、タクシー乗り場までやって来た。中に乗り込み、じゃあなと告げる。閉めたはずの扉が途中で止められた。そしてナギは、上背を屈めて最後の言葉を告げる。


「もしもアナタが彼女の存在を受け止めきれなくなったその時は、ワタシがその場所を奪いに現れるかもしれませんよ?どうぞ、そのおつもりで」

「はっ、言ってろ。部外者にも愛の伝道師にも、相手が誰であろうと絶対譲らねえよ。この場所だけは」

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