第108章 待ってられるかそんなもん
【side 八乙女楽】
「エリから連絡来たって本当か!?」
あのとんでもなく長い1日の、翌日のこと。無事にゲネを終えた勢いそのままに、一般公開の幕が上がろうとしていた。
本番直前、姉鷺が俺に言ったのだ。春人からメッセージが入ったと。どうして俺でなく姉鷺に連絡を寄越したのか、ほんの少しだけ不服ではあったが、とにかくその内容が気になった。
昨日、公演を終えてから見舞いに駆け付けたものの、病院の面会時間が過ぎていて会えずじまいだったから。
「もう、ガッツかないでちょうだい!それに、エリじゃなくて春人と呼びなさいな」
「分かったから早くそれ見せてくれ」
俺だけでなく、当然ながら天と龍之介もエリの安否を気にしていた。
俺達は雁首を揃えて、姉鷺から手渡されたスマホの画面を覗く。
《 わりと平気 》
「ふ、ふふ。紛うことなき、プロデューサーからのメッセージだ」
「あはは!うん。これはどう見ても、春人くんが打ったものだね」
「あのなあ…!お前らは何でこの淡白すぎるメッセを見て喜んでんだ。普通もっとあるだろ?詳細の説明とかが」
俺がここまで言っても2人は、これでいいんだよと顔を見合わせ笑っていた。