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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第105章 幸せになれると思う未来を掴み取るだけ




「ねぇ、今のなに」

『さぁ。新手のオレオレ詐欺か何かでしょう』


しれっと言って、龍之介にスマホを返すと同時に、扉がバァンと開け放たれる。室内に、思った通りの人物達が飛び込んで来た。


「っ、バカ春人!なんで通話切るんだよ!っていうか、なんでスマホの電源切ってるわけ!?いつでもどんな要件でも好きなだけ連絡してもいいって言ったくせに!」

『そこまでは言ってません』

「えっと、すんません。お邪魔します…」

「久し振りだな、春人。元気そうで何よりだ」

『どうも。というか、さっきの変な電話は何だったんですか?』

「あら。変、だなんて失礼してしまいますね。あれは私が作った新曲の冒頭なんですよ。貴女には一番最初に聴いていただこうと思いまして、連絡させてもらいました。ふふ、私も貴女がそうしていたみたいに痛い系の楽曲を作りたくなってしまっ」

『っとぁ!』


私は巳波の口を塞ぐ。私があんな曲(黒歴史失恋ソング)を作っていたことは、絶対TRIGGERには知られたくない!特に龍之介には。
だが人の気も知らずに龍之介は首を傾げて、痛い系の楽曲?と無垢な表情で呟いていた。


「キミ達も今日ここで仕事だったんだね。ボク達もいると知って、挨拶に来てくれたの?殊勝な心掛けじゃない」

「ち、違う!オレ達は…えっと、ほら、あれだ!お前達に、文句言いに来たんだ!」


もちろん心当たりなどないTRIGGERの面々は、揃って困り顔を浮かべる。すると悠は、泣きそうな顔をして人差し指を前へ突き出して続ける。


「揃いも揃って、心当たりないみたいな顔すんなよ!」

「悠の言う通りだ。俺達から春人を取り上げといて、そりゃないよな」


虎於は、悠の代わりに前へ出てにやりと口角を上げた。

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