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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第104章 爽やかな笑顔だな




このご時世、ありとあらゆるタイプの歌手が群衆の目に触れる。テレビに出ているアイドル達は勿論だが、いま特に世間がご執心なのは “ インターネット ”
ラビチューブなどを利用し活動している歌手…いわゆる、歌い手というやつだ。彼ら彼女らは、自らの力でプロ顔負けの知名度を築く。

テレビに出ているからといって、実力があるとは限らない。その逆も然りで、テレビに出ていないからといって、実力がないとは限らないのだ。

そんな今日。歌い手の中でも、群を抜いて民衆の興味を攫う者がいる。


「戻ったよ。楽と龍は、もう帰った?」

『天。遅くまでお疲れ様でした。
はい、今日は貴方が最後ですよ。すぐ送迎の準備をしますね』


収録を終え、直帰せずに事務所へ戻った天。私が仕事に付き添えなかった日は、いつもこうして仕事部屋を訪ねてくれる。そして送迎の道すがら、車中で今日の仕事内容を話し聞かせてくれるのが、私達の日課になっているのだ。


「急いでいないから、ゆっくりで大丈夫。
それより、キミが今 観ていたそれって」

『あぁ、はい。最近ラビチューブでバズっている、歌い手の “ Kei ” の動画です。やはり、天も気になっていましたか?』

「チェックはしてた。
人気の理由として、顔出しを一切しないことで人々の好奇心を煽ってるっていうのもあるんだろうけど。何より彼女の、歌唱力が半端じゃない」

『はい。私も同意見です』


一時停止していた動画の、再生ボタンを押す。すると、そのKeiの歌声が再開した。
狐の面を顔を覆い、プロ顔負けの見事な歌声を披露している。


「……ねぇ。これは、ボクの気のせいじゃないよね」

『ええ。きっと、私も同じことを思っていますよ』


彼女は、雰囲気も歌い方も声質も、全てがLioに酷似していたのだ。

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