第14章 俺は、あんたより すげぇアイドルに ぜってーなってやる!
【side 四葉環】
守りたい物があった。いや、守らなければいけない物があった。
この物語は
母親という大切なものを失って、理という大切なものを失う事に怯えてる俺が、大切なものに出会う っていう話。
お袋が、死んだ。一応病気だったけど、俺は今でも親父のせいだと思ってる。
親父と呼ぶなんてのも気持ち悪い。
俺の中に、アイツの血が半分入ってるんだと思うだけで、吐き気がした。
酒に溺れ、お袋に暴力を振るった。アイツは人間じゃない。悪魔よりももっと汚くて、凶悪な何か。
子供にとって、母親ってのは大切の塊。そんな大切を失って、俺に残されたのは妹の 理 だけ。
本当それだけだった。何が何でも、理だけは俺が守り抜く。そう思った。
この目の前のクズ男からも、俺が絶対に守ってやる。それこそ、…このクズを殺してでも。
そう思っていたが、そこまでの事態には至らなかった。
知らない大人達が、俺達を迎えに来たから。
親父と引き離す為に、俺と理を施設に入れたのだ。
施設での生活は、家にいるよりかはマシだったけど。お袋と暮らしていた時よりかは良くなかった。
当然だ。突然、今日からここを自分の家だと思えって言われたって、そんなの無理があるだろ。
今日から大勢の他人と、兄弟になれ。なんて、もっと無理があった。
大して居心地が良いわけではないこの “ 家 ” で、俺と理は必死で毎日をやり過ごしていた。