第13章 プロデューサーさんまでカッコ良いんですね…
『どうぞ』
スプーンの上にミニドリアを作って、彼の方へ突き出す。
しかし環は、それにパクつく事なく。じっと見つめたまま固まっている。何か気に入らなかったのだろうか?
「…ふーふーして」
爆発するかと思った。何がって、私の頭が。
可愛すぎる!!なんだこの生き物は!上目遣いで、私にふーふーを求めているこの生物は!
『も…もう、冷めて、ますよ』
鼻血が噴き出さなかった自分を褒めてやりたい気分だ。
「そっか、じゃあ大丈夫だな…」
あーんと、彼はドリアを頬張った。
「あっっつ!!」
『えぇ…』
環は飛び上がって口元を手で覆っている。
「だ、騙したな!めちゃくちゃ熱いじゃん!ぜってー今ので口の中火傷した!上顎いかれた!明日歌えなかったら あんたのせいだかんなっ」
『っ、…あははっ、貴方っどんだけ猫舌なんですか、ははっ、おかし…』
「わ、笑うなよなっ、自分がちょっと口の中最強だからって!」
環が喋れば喋るほど、私の笑い声は大きくなっていくのだった。
—————
「……ふぅ」
「ん?どうしたの?さっき休憩行ったばっかりでしょ。もう疲れた?」
「いや…違う。全然違う。5番テーブルが…尊くてさぁ」
「え?あぁ、あのイケメン2人組?たしかにヤバイよね。顔面偏差値が」
「いや、イケメンなのはイケメンなんだけど、そうじゃなくて…。さっきから、あーんとかやってイチャついてんのよ」
「え、嘘!何それ私も見たい!ちょっとお冷サービス行って来る!」
「やめて!!空気が汚れる!」
「…アンタ、それは私に失礼でしょ」
「あぁ、本当に尊い…。この世に生まれてきてくれてありがとう」