第101章 運命の相手には、いつ会えるか分からない
嫌な予感は、していた。
『あぁ楽しかった!皆んな元気そうで良かったねぇ』
「うん」
私はその予感に気付いていないように、努めて明るく振る舞う。
『ありがとうね。お陰様で、凄く癒された!楽と天と、集まってくれた皆んなにもまた御礼言っとかなくちゃ』
「エリ」
『たっぷり英気も養ったし、これで明日からまた頑張れる』
「エリ。ごめん、大事な話があるんだ」
『…ちょっと待って。先に、お風呂入って来る』
こんなふうに逃げてみたところで、稼げる時間など僅かだ。それでも、いつもよりも念入りに体を洗い、髪を乾かしてみる。
時間にして1時間程度だったが その間に、どうか彼の気が変わってくれていますように。
「エリ。俺達は、一緒にいない方が良いと思う」
普段は、人を傷付けたりしないよう慎重に言葉を選ぶくせに。こうと決めたことは、単刀直入にズバッと言うのだから驚かされる。そして彼がこういう物言いをする時は、もう自分の中で確固たる答えを見つけているのだ。
『何言ってるのか分からない。第一、突然過ぎるよ』
加えて言うならば、彼はとても頑固である。ひとたび自分の最適解を見つけた後では、周りが何を言っても靡(なび)かないのだから、本当に参る。
「突然じゃ、ないんだ。最近ずっと、このことばかり考えていた。
…エリ。別れよう」