第100章 お前、龍のこと好き過ぎだろ
そろそろ次をラストにしよう。そう誰かが言った。どうかこのまま、私のターンが回って来ませんように。そんなことを考えてしまった時にこそ、災厄は訪れるものである。
『……』
「お、やっと真打ち登場ってわけだ」
大和はニヤニヤしつつ、自分の番号を確かめる。
『まぁ、ただのゲームですから。私にとっては容易いことです。6番で』
「…俺だ」
楽以外なら誰でも良い。そう考えてしまったから、最悪の引きをみせてしまったのだろうか。
私が彼に愛してると言いたくないと思ったのは、龍之介。貴方に、そんな顔をして欲しくなかったからだ。
私は懐にある携帯電話を取り出し、これ見よがしに画面を確認する。
『あぁすみません。とてつもなく大切な連絡が入ったので、少し席を外します』
「あ、春人が逃げた」
「逃げたなぁ」
冷ややかな三月と大和の声が、背中から聞こえた。
「そうかそうか。あいつはそんなに俺には言いたくねぇか。割と本気でムカつくな」
「ただのゲームでしょ。こんなことで割とでも本気にならないでよ恥ずかしい」
「……春人くん」
私は、瞳を閉じ僅かに口角を上げる万理の横を通り過ぎ、一旦その場を離れるのだった。