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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第97章 諦める理由にはならねぇだろ?




その翌日。
俺は彼女と2人でテレビ局にいた。

べつに自分のやったことに後悔などしていない。しかし、よりにもよって単独の仕事が今日でなくても良いのに。そう思ったのも事実である。
しかし、エリは相変わらずのクールビューティっぷりだった。気まずさを感じている様子など、微塵もない。

1人でそうこう考えているうちに、仕事は終了した。時刻は14時。珍しくスケジュールに空きがあるらしい。

頭の中には、もう告げるべき台詞が決まっていた。それは、これから遅めの昼食でもどうだ?である。
まぁ、エリが誘いを受けないことなど百も承知だ。もはやこれは、ただの定例文句に過ぎない。


「なぁ。これから遅めの」

『もし予定がなければ、私に付き合ってもらえませんか?』

「……は?今の、俺に言ったのか?」


予想だにしていなかった、向こうからの誘い。つい馬鹿みたいな返しをしてしまった。
イエスともノーとも答えなかった俺の前で、エリは首を傾げた。やはり予定があるのか?という質問に、首を振る。


『良かった。でしたら、付き合って欲しい場所があるんで、時間もらえます?』

「わ、分かった。付き合おう」


べつに、睨まれたわけでも威圧されたわけでもないのだが、ほんの少しだけ身構えてしまった。

昨日の今日だ。俺は一体これから、どこへ連れて行かれるのであろうか…
人気のない路地裏とか、人目につかない工事現場とか。そういう物騒な場所が、いくつも頭に浮かんだ。

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