第96章 やることなすこと滅茶苦茶じゃん!
「あっ、そうだ!中崎さんも、俺らと一緒にここで食えばいいじゃん!」
「はっ!?い、いや、それはないだろ。もう授業参観もとっくに終わったし、こいつが校内にいたらヤバイんじゃねぇ?」
『それでしたら、大丈夫です。ここに来る前、校長室に寄って事情を話し、少しの時間であれば滞在しても良いと許可をもらってあるので』
「いっ!?」
「ヤッターー!中崎さんとご飯ー!」
「相変わらず、先を見通した見事な立ち回りですね」
環が適当な机と椅子を運んで来る。こいつはすぐに、懐かしいと目を細め、ゆっくり愛おしそうに腰を下ろした。何が嬉しいのか、オレにはよく分からない。こんなの、木で出来てるただ無駄に重いだけの机に過ぎないのに。
弁当の蓋を開ける。中身は唐揚げに、卵焼きと何かの煮物。それらをレタスとプチトマトが彩っていた。レシピ本から飛び出して来たような、ザ弁当といった感じだ。
「…いただき ます」
『!!
亥清さん、きちんといただきますが言えて偉いですね。どうぞ召し上がれ』
「そっ、そういうこと、いちいち言うなよ!そういうとこだぞ!あんたがウザいの!!」
「はは。可愛い可愛い」
「ふふ。可愛いですね」
「お前らもウザい!!まとめて全部ウザい!!」
オレは、備え付けのフォークでプチトマトを串刺しにした。
『お弁当、もう一つ持ってくれば良かったですね。四葉さんがパンだとは。てっきり、三月さんのお手製弁当を持たされているものだと思っていました』
「兄さんは、きちんと持たせてくれてますよ。私と同じ物を」
『…あぁ!じゃあもしかして』
「いつも昼休みまでには、中身が空になってんの。不思議だよな」
「なにも不思議じゃねぇだろ。全部 早弁してるだけなんだから」
オレが冷静に突っ込むと、一織が、大体あなたは…とお得意の説教を始める。環はこれ見よがしに両耳を塞いで、それをシャットアウト。
するとこいつは、また ふわふわとした笑顔を浮かべるのであった。