第95章 《閑話》とあるトップアイドルの息抜き?
『ん…、あれ、龍?』
「うん、正解。それより駄目じゃないか。Re:valeさんや、大神さんに迷惑かけたら」
『そ、う…だね。ごめんなさい』
私は3人に向かって、素直に頭を下げる。万理は、いいからと笑って返事をしてくれたが、あとの2人は無言で固まっていた。
百は目をこれでもかと見開いて口を金魚みたいにパクパクさせていたし、千にいたってはアイドルがしてはいけない顔をしている。
そして。何故ここに龍之介が現れたのかというと、どうやら万理が召喚したらしい。悪いとは思いながらも、開きっぱなしになっていた私の携帯からメッセージを飛ばしたそうだ。
突如として呼び出しを受けた龍之介は、いつまでも再起動しない百千コンビを心配そうに見つめていた。
「あの、百さん?千さんも、大丈夫ですか?もしかして、俺かエリが何か失礼を…!」
「違うよ。この2人は大丈夫…じゃないかもしれないけど、放置で平気だから。
それより彼女のこと、後はよろしくね」
「はい。ありがとうございます。
ほら、エリ立てる?駐車場まで負ぶろうか?」
『あはは、やだなぁ。自分で、歩けるよー』
とは言いつつも、立ち上がるだけで体は大きくふらついた。咄嗟に龍之介の手が伸びてきて、私の腰を支えてくれる。
そのまま、彼の力を借りながら扉に向かって歩みを進めた。
龍之介が後ろを振り返り、3人に軽く頭を下げる。そうだ。私も、彼らに御礼を伝えなければ。そう思い立ち、待って と告げてから身を翻す。
『3人とも、話 聞いてくれてありがとう!私、あの子達のこと、諦めない。
えー…中崎 春人、頑張ります!』
「!!
ははっ、うん。頑張れ。お前なら、きっとやり遂げるよ。
だから…頑張れ。俺はこれからもずっと、応援してるから」