第93章 選んだのは、こういう道だろ
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互いの額同士をくっつけて、手の指を絡め合う。
「…エリ、すごく、気持ち良いよ…」
『うん、私、も…、気持ち良い…っ』
「大好きだ…」
『ふふ、ん…私も、大好き。愛してる…』
私が言うと、中のものが ピクリと反応する。そして、より質量を増したような気がした。
こんなふうに丁寧に丁寧に肉の壁を擦られ続けて、私の身体はすっかり昂(たか)められている。それが分かっている龍之介は、より一層 深い所へ自身を進めた。
『やっ、ぁ…龍っ、そこ…っ』
「気持ち、良い?」
『んっ…、好きぃ…ひぅっ』
「俺も、気持ち良いよ。ねぇ、一緒に…」
言ってから、龍之介は腰の律動を早める。私は懸命に彼の腕にしがみ付いた。
とろりと、また蜜が溢れて龍之介に絡み付く。コンコンと、一番奥の壁を先が叩いた。
『んっ、あ、イ…くっ、』
「〜〜っ、!」
龍之介の動きが ぴたっと止まるのと同時に、私は彼にしがみ付いたまま達してしまった。そして、彼もまた自身を跳ねさせながら、私の中に熱い飛沫を放つのだった。
甘ったるい余韻が、ようやく少し冷め始めた頃。頭の上へふわりと手の平が乗せられる。
「エリ?お風呂は、どうする?俺がいれてあげようか?」
『ん…いや、大丈夫。少しだけ休んだら…自分で入る』
瞳を閉じれば、数秒とかからず寝てしまいそうだ。
私は彼の手を取り、甲に頬を摺り寄せる。
『あのね…私もう、龍がいないと生きていけない。だから、もう、二度と言わないから。別れよう、なんて』
「うん」
『だから、私のこと…一生…離さ ないで』
「…うん」
『絶対、だよ。龍…』
「分かってる。絶対に、離さないよ」
与えられた安堵感を噛み締めて、私はゆっくりと瞳を下ろした。
「…おやすみ。エリ。愛してる」
( 絶対、か。ごめんね。俺は、君に嘘を吐いた。
もし君が、俺といるよりも幸せになれる道があるのなら…俺は、迷わず、エリを手放すことが出来る。
ごめん。でも、俺はそれくらい君を…
愛してる)