第93章 選んだのは、こういう道だろ
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龍之介は、滾った自らのものに手を添えて、それをゆっくりと私の中へ沈めていく。
「ん…っ、ッ は」
『あっぁ…っ』
「は ぁ…、エリ…きつい?平気?」
『大丈、夫っ…』
幾度となく身体を重ねた結果、私の中はすっかり龍之介の型ちになっていた。それでも、やはり挿入してすぐは苦しさが勝る。
それを分かっているのだろう。彼は、最初から激しく動かない。頬や額に口付けながら、ゆっくりと律動を始めるのだ。
ゆっくりと押し進められて、また同じ速度で引き抜かれる。そうしていくうちに、ぐしゅりと私のそこは解れていく。柔らかく溶けて、龍之介と自分の境目が曖昧になっていく…その感覚が、堪らなく好きだ。
『りゅ…う、龍 之介ぇ…ふ、ぅ』
「ん…エリ」
うわ言で名前を呼べば、彼もまた名前を呼び返してくれる。それだけで、体も胸もたちまち熱くなってしまう。
十分にそこが解れたら、龍之介は私の腕を引いた。そして、同時に自分の上体も起こす。
対面になって ゆるゆると身体を揺すられれば、激しくされているわけではないのに、酷く感じてしまう。
私達は、荒い息を吐きながら相手の瞳を見つめた。
繋がっている時の、龍之介の目が好き。いつもの人畜無害な瞳じゃなくて、奥の方で欲の焔がチリチリ燃えている。自分だけがこの光を見れるのだと思うと、喜びで心が震えた。