第87章 こっち側は、私の領分だから
「八乙女さんは、女の人を取っ替え引っ替えどころか、平気で7股とかする遊び人だって」
「は!?なんだそれ!」
「うわ。最低」
「するわけねぇだろ!んなこと!」
「九条さんは、実は裏で 酒とか煙草をやってるって」
「は?」
「ははっ。最低じゃねぇか!」
「してるわけないでしょ!そんなこと」
天と楽は、降って湧いたありえない噂に憤慨した。そして龍之介は、眉間に皺を寄せて彼の言葉に耳を傾けている。
「酷い…根も葉もない噂ばかりだ」
『龍之介の噂は?あるんでしょう。彼にも』
「あぁ、えっと…。十さんは、リアルだと全然エロくなくて、夜になっても全くケダモノなんかじゃない って」
「「龍の噂だけ、なんか優しい」」
『あはは。やっぱり噂は噂、ですね。全くもって、的外れも良いところです。
ねぇ、龍?』
「〜〜っ、ちょ、春人くん!い、今はそんなことを言ってる場合じゃっ」
龍之介は、夜は立派な獣と化す。私だけが、それを世界で唯一 証明出来る存在だったりする。
ニヤリと笑顔を向けると、たちまち顔を赤くした龍之介。楽は首を傾げて、そんな彼を見つめた。
「誰かが、悪意を持ってボク達の評判を落とそうとしてる。それも、こんなデタラメな噂話なんかで」
「あぁ。早いとこ犯人取っ捕まえて、なんでこんな真似したのか吐かせてやる」
「本当に…誰が、何の目的があってこんなこと…」
考えあぐねる3人を上目遣いで見上げ、彼は続ける。
「実は、それで全部じゃないんです。流れてる噂」
『まだあるんですか。お次は、天ですか?楽?それとも龍之介?もしかしてTRIGGERだけに留まらず、うちの所属タレントの』
「タレントじゃなくて、オレが聞いたのは…春人くん。あんたの噂。
春人くんが昔、アイドルだったって…噂」