第82章 TRIGGERを独り占めだね
「あいつ、遅いな」
『お待たせしました』
「わ、春人くん…すごいね!」男だ
「へぇ。すごい」男だ
2人の、驚きと感心が入り混じった視線を浴び、胸を張る。
『ふふ。どうですか』
「変な格好」
『…楽、貴方もうちょっと言い方ってものがあるでしょう』
「それ水着ってよりウェットスーツじゃねぇか。なんだってお前は、そうスーツが好きなんだよ」
不服そうな楽だったが 龍之介に諭され、しぶしぶ納得する。
少し不恰好な水着姿だったとしても、これで4人揃って海に入れるじゃないか!そう言って、嬉しそうに微笑む龍之介に勝てる者など、誰もいなかったのだ。
「まぁ、遊べりゃ何でもいいか。
それより前から思ってたけど、春人…」
『はい?なんで』
「お前さ、体はヒョロいくせに胸筋だけはあるよな」
ペタ。と、楽は手の平を 私の胸にくっつけた。
「「 あ 」」
『……』
「やっぱり。なんで胸だけ鍛え
いっ、痛ったたた!ちょ、龍!お前!いきなり何す、いてぇって!離せ!」
龍之介は、見事な関節技をキメていた。腕を体の後ろで捻り上げられた楽は、悲痛な声をあげる。
「は…!ご、ごめん!ついうっかり!」
「ついうっかり、で仲間の腕をへし折ろうとするってどういうことだ!」
「まぁ、今のは楽が悪いかな」
「天まで!?俺、お前らにそんな嫌われるような事したか!?」
ようやく解放してもらえた楽は、腕をさすりながら涙目で訴えた。