第81章 子供じゃないんだ、分かるだろ
『そういえば、私を探していたと言ってましたよね。何か用事ですか?』
「あぁ。せっかく良いホテルに泊まってるんだからな。バーまで飲みにでも行こうと思って、あんたと龍を探してた」
『部屋飲みにしましょう。部屋飲みなら、いくらでも付き合うので』
「なんだよ、せっかくの機会だってのに…」
私は、楽の腕を掴んで ぐんぐんと闊歩する。
絨毯張りの廊下を行きながら、この後の事を想像した。
今日は、少しキツイ酒を飲もう。そして、私の隣には楽が座っている。それに、天にも声を掛けるのだ。きっと天は、迷惑そうな顔をしながらも、なんだかんだジュースで付き合ってくれるだろう。
そうこうしていると、龍之介が部屋へと戻ってくる。そしたら4人で、馬鹿みたいな話をして、笑って、今日という日が終わるのだ。
決して、明日に嫌な余韻など残さぬように。
————
「もしもし。
あぁ、ちゃんと会って来たって。なんだよ、信用ないな…
でも、とてもじゃないが、現代の千葉サロンの幹部には見えなかったけどな。
え?俺の声が、弾んでるって?
はは。あんたの前で、不機嫌になったことなんてないだろう?いつだって俺は上機嫌だ。
……あぁ、そっちにも会えた。
あんたが言ってた通り、とんでもない爆弾だな。
あれが爆発したら、それは綺麗な花火が拝めるぜ。
きっと、あんたも存分に楽しめるだろうさ。
了さん 」