第76章 知らず知らずの内に、同じ女に惚れていたんだな
『楽。私達の共通の友人である、プロダンサーMAKAの活動本拠地は、貴方も知るところではあると思いますがロサンゼルスです。
世間的にもあまりに有名な彼女ですが。この度、ロスの中でも由緒あるライブ会場の1つ、The Forumでの単独ライブが決行される運びとなりました。キャパシティはなんと17500です。凄いですね』
「あぁ。凄いよ。あいつはやる奴だぜ」
『そんな素晴らしい舞台に、私と貴方がお呼ばれしたわけです。嬉しいですね。彼女の活躍をこの目で見られるのは。
さて。問題はここからです。ロスは、日本から約9000キロ 離れているんですよ。
これが…どういうことか、楽には分かりますか?』
「どういうこと、って言われてもな…。あ。
お前のテンションが上がってる」
『飛行機に10時間も乗るということですよ!!』
「お前、もしかして…
飛行機好きなのか?!だからやたらと喋るしテンション高いんだろ。子供みたいな奴だな」
『……』もうそれでいい
もうこれ以上の説明は必要ないと思うが、この度 私達は、MAKAに会うためにロスへ出向く事になった。
出立は、今日の夜。明日の昼には現地に着く予定だ。
数日の休暇を設ける為、ここ最近 楽のスケジュールを切り詰めていた。かなりの疲労が体に蓄積していると予想される。
きっと、飛行機の中ではぐっすり眠れる事だろう…。
楽だけは。
私の方はと言うと。当然、気が休まるどころの話ではない。機内にいる10数時間、常に恐怖心との戦いになること請け合いだ。