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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第69章 お前さんのデート相手はここで待ってますよー




にやりと笑う大和を、至近距離から見上げる。そしたら、すぐに分かった。

大和は、2人の反応を見て楽しんでるんだって。


「……はは。大和くん、いいなぁ。俺も着物のエリと、デートしてみたいよ!
えっと…楽しんで、来てね?」

「おぉ、さすが大人の反応ですね。十さんは。
…ちょっと、心が痛みますけど」


明らかに引きつった笑顔で、なんとか言葉を口にした。という様子の龍之介。
隣に立つ天は、まだ納得していないようだ。不満をありありと表情に出している。


『天、龍。急に休んじゃってごめんね。でも、事情があるのは本当。
私と大和は、これから千葉さんの家に伺うの』

「えっ!!」

「そうなの?」

『うん。新年のご挨拶、ってところかな。なかなか会えるような方じゃないから。この機会にぜひと思って。
千葉さんのご予定に合わせて、急遽決まったから当日欠勤になっちゃった』


嘘は言っていない。挨拶に行くのは本当だ。
挨拶に加え、クレセントウルフの主演にTRIGGERを選んでくれた御礼を伝えるのが、本来の目的なだけで。


「な、なんだ。そうだったのか」ほっ

「…全然、カスピ海じゃない。せいぜい、そこの水溜りの深さくらいの事情だったね」

「九条、水溜り好きだな…」


ようやく2人の表情が緩んだ。それを確認して、私も胸を撫で下ろす。

ただ、大和だけは不服そうだった。私があっさりと本当の事を説明してしまったのが面白くないのだろうか?
デートという体にしておきたかったのかもしれない。


ここから千葉の別邸までは、歩いてすぐだ。

天と龍之介は、いってらっしゃいと言って 私達を見送ってくれた。

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