第69章 お前さんのデート相手はここで待ってますよー
仕事を終え、やって来たのはアイナナ寮だ。
きっと今頃、TRIGGERの3人と姉鷺は打ち上げ中だろう。あぁ、たしか前祝いだったか。いや、べつにどちらでもいい。
バイクを停め、ヘルメットを取るなり、彼が駆け寄ってくる。
「お疲れさん。早速で悪いけど、早くこっち来て。バイクも一緒に」
『え?な、なに、何で!』
「説明は後で。取り敢えず 急いで急いで」
訳もわからず、腕を引かれるまま、とにかく移動をする。バイクを押して角を一つ曲がった。ちょうどそのタイミングで、誰かがアイナナ寮から飛び出してくる。
「あれ?っかしーな。いま確かに、えりりんのバイクの音した気がしたんだけどなー。んーー…もしかして、会いた過ぎて、耳バグったとか?」
それは、環だった。
彼は首を傾げ、肩を落とす。そして、さむっ!と身震いをひとつしてから、再び寮内へ戻って行くのだった。
『……で?どうして四葉さんから逃げる必要が?』
「どうしてって…
あんたが会いに来たのは、タマじゃなくて俺だろ?」
そう言ったのは、私が今日会いに来た男。大和だ。そんな彼は、大袈裟にパチンとウィンク決めた。
『たしかに私がここへ来たのは、貴方に会う為ですけど。べつに四葉さんにも会ったっていいじゃないですか』
「…はぁ。つれねぇな。あんたから、こんなメッセ飛んで来たってんで首を長ーくして待ってたのに」
彼は、わざわざ携帯の画面を私に向けた。そこには、確かに私が送った文面があった。
“ 会いたい ”
大和はもう一度 画面の文字を確認して、にやりと笑った。
「期待しちゃうでしょ。
エリの方から、こんな熱烈なお誘い受けちゃったら」