第69章 お前さんのデート相手はここで待ってますよー
そして、来たる最終選考当日がやって来た。
「月舘信八郎役、八乙女楽さん」
「はい!」
「夜見九郎役、九条天さん」
「はい」
「牙山十兵衛役……十龍之介さん」
「っ、はい!」
3人は、見事に主演役を独占した。
助演枠の発表の邪魔にならぬよう、部屋の隅で肩を抱き合い喜ぶメンバー達。彼らがここまで感極まるのは、実に稀だ。それほど、このオーディションに賭けていたのだ。
きっと今 3人の心の中には、達成感や満足感、愉悦、驚喜で満ち満ちているのだろう。
私とて、嬉しい。嬉しくないわけがない。しかし、1番を占めている言葉は…
やっぱり。だった。
私には、私だけは、3人揃って合格する事が分かっていたのだ。
「……おい」
『何ですか。また私が喜んでないとか言い出すんですか?疑り深い男ですね』
「まだ何も言ってねぇだろ!」
『おめでとうございます。この結果は、貴方達3人が掴み取ったものです。3人の努力が身を結んだこと、本当に嬉しく思います』
そう。この成果は、3人の力のみで掴み取ったもの。彼らには、そう信じていてもらわなければ。
決して、知らなくてよい。
今回の件に “ 裏の力 ” が働いていた事など。