• テキストサイズ

引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第68章 あなた…意外と馬鹿なんですね




後半戦が始まる。
ボールを持ったのは青チーム。私達は守りに入る。

やがて、私のマークする男にボールが渡った。相変わらず私の相手は、百に意地悪を言った男だ。ぜひここいらで、一矢報いたいところだが…

男は、するりと私の横を通り抜けていく。注意深くボールを見張っていたのだが、結局 簡単にフリーにしてしまった。


「……ちょっとだけ、まずいかも」


百の表情が、俄かに曇った。

彼の不安は、的中する。
このチームの “ 穴 ” を見抜いた相手は、私を中心に攻め立てたのだ。

私がマークする男に、意図的にボールが集められるようになってしまった。懸命なブロックの甲斐もなく、その度に難なく抜かれてしまう。


「春人ちゃん!どんまーい!力抜いて、楽しんでいこう!」

「春人くん、大丈夫!もし点を取られたとしても、また俺達が取り返すから」


百や龍之介は、私が落ち込まないよう声を掛けてくれるが…このままではマズイ。
今のところは、皆んなのフォローや加藤のブロックに助けられ、失点こそしていないが…それも時間の問題だろう。


『…どうすれば、抜かれないか。
考えろ…考えろ』


タイムアウトを申請しようと立ち上がった一織が、視界に入る。首を振って、それを制した。

まずは、私にやれる事をやる。タイムアウトは、それでも駄目だった時に使って欲しいと思ったからだ。


私は、味方からのパスを受けた男の前に立ちはだかって考える。

/ 2933ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp