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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第8章 なんだか卑猥で良いね




ヒュっと音を立てて、凄いスピードで真っ直ぐこちらへ向かってくる刃。
観客からは、小さく悲鳴が上がる。


『!!』


私は目を大きく見開いて、しっかりと弾道を見極める。そして、自分の胸の前スレスレで その刃を手で掴む。


『ぅ、うわぁぁっ!』


そしてその後は、すぐに地面へ倒れ込む。刀身を掴み、剣を支えて自分の胸に突き立てる。
これでバッチリ、倒れたマレウスの胸に剣が刺さっているように見えるだろう。

しかし…

倒れ込んだ場所が、問題だった。

私が倒れたその場所 そこは。お姫様が眠っているベットがある場所だったのだ。


ちゅ


『!!』

「!」


私の唇は、見事にお姫様の唇に落ちてしまった。



「…は?」

「…んっ…!」


「っきゃぁっ!あれ本当に、キスしてない!?」
「いやいや寸止めでしょ」
「っていうか王子様の立場は!?」


会場から、悲鳴だか歓声だか何だか分からない黄色い声が聞こえる。
ま、まずい。早くなんとか事態を収拾しなければ。

しかし、王子にキスをされたと思ったお姫様は しっかりとその両目を開いてしまっている。


「…あぁ。私はずっと、貴方様の事をお待ち申し上げておりました!」…って、え?王子じゃない…?


あぁもう駄目だ。敵設定である私を待っていたとか言っちゃったよお姫様。もうこうなったら仕方ない。


『…そう。私は、主君であるマレフィセント様を裏切り。16年間ずっと貴女を見守ってきました。
私は、いつのまにか…そんな貴女を愛してしまっていたのです!

王子よ!!貴方も、私達のような真実の愛を探しに行くが良い!』


私はお姫様を横抱きにすると、逃げる様にして舞台袖へと逃げ込んだ。


「…………ボ、ボクも、あの二人のように 立場も体面も関係無いと言い切ってしまえるような、真実の愛を探すため…旅に出よう!!」


天は胸に手を当てて、ゆっくりとステージから捌けていく。


『早く幕を下ろして!』

「は、はい!」

そんなこんなで、無事に眠り姫は幕を閉じたのだった。

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