第59章 凄く綺麗ですね！

『ほら見て楽！』

「お、早速 2個目の目標物発見だな」


腹ごなしがてら、映画館へと向かって歩いていた私達。その道中で見つけたのは、数多のサングラスだった。

鏡付きの回転スタンドに、沢山のサングラスが刺さっている。2人並んで意気揚々とそちらへ向かう。


「よし。俺がエリに1番似合う奴を選んでやる」

『え』

「……これなんかどうだ？」


楽が差し出したのは、フォックス型のサングラス。目尻にかけて緩やかに上がっていくフォルムは、エレガントでセクシーなイメージを抱かせる。
私はそれを…かけた。


「…いや、眼鏡は取れよ」


久しぶりに聞く、楽のシャープな突っ込みだった。眼鏡の上からサングラスをかけた私に、ついつい割とマジな突っ込みを入れてしまったのだろう。


『私はいいの！私が 楽に似合わないサングラス選ぶんだから』

「あぁ、俺に似合わな……似合わない！？」


楽に似合うサングラスなど、この世にごまんとある。そんな当たり前の事象を証明して、何が面白いだろう。
だからこそ…ここは逆に、楽に似合わないサングラスを探してやるのだ！


『手始めに、これね』

「わ、分かった」


私が手渡したのは、着ける人を選ぶサングラスの代表。ティアドロップ型だ。これが似合うのは、ごく限られた男だけ…


「どうだ？」

『……っ、まだまだ！』

「せめて似合うか似合わないか教えてくれないか？」


やはり、ティアドロップ如きでは相手にならない。もっとこう…あり得ないような、ぶっ飛んだサングラスでないと！