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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第59章 凄く綺麗ですね!




私は楽を喫茶店に待たせ、駅前へとやって来る。そして、貸ロッカーの扉を開けた。中には、予め預けていたトランクがある。
トランクをゴロゴロと引き、公衆トイレへと向かった。中に人がいないのを確認して、個室に入る。そして、それを開いた。

中には…私がエリになる為の全てが詰まっている。

春人でも、Lioでもない私。ボリューミーな付けまつ毛に、伊達眼鏡。それに、厚底じゃないパンプス、可愛らしいワンピースだ。これらを纏って、私は楽に 逢いに行く。

こうなる事を、私はなんとなく想定していた。やっぱり春人では、楽を癒してあげられなかった。
Lioほどではないにしても、楽はエリの事も それなりに好いてくれているはずだ。
そんな人物が相手ならば、少しは彼の癒しとなれるのではなかろうか。


彼の待つ、喫茶店へと向かう。もう30分も経ってしまったので、帰ってやしないか少し不安だった。しかし、楽はいた。

本日2回目だ。楽の後頭部を見ながら近付いて、声を掛けるのは。


『待った?』

「お前な!長くなるっつっても限度が……」


当然、声の主は春人だと思っていたであろう楽。私の姿を見て見事にフリーズした。サングラスが ずれ下がって、鋭い目が露わになった。

裸眼で私を捉えた楽に、再度 同じ言葉を掛ける。


『…待った?』

「え…ぁ、いや。待ってな…じゃ、なくて…
俺も…今、来たところだ」


楽は やっと笑って、可愛い彼女との待ち合わせ用の台詞を口にしたのだった。

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