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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第56章 見てない!見てない見てないよ!




思った通り、熟睡出来ず。私の意識は呆気なく覚醒した。すっかり暗闇に慣れた目を開けると、天の寝顔が視界に入った。
あどけなくもあり色気もある その寝顔に、しばらく魅入ってしまう。

しっかりと堪能した後で、私はようやく罪悪感に気付いた。心の中で天に ごめん、と呟く。それから枕元の携帯に手を伸ばす。
ディスプレイには、0:35 と表示されていた。

襖の間を、そっと覗く。楽と龍之介が、布団の中で寝息を立てている。
私はそれを確認すると、あらかじめ用意していたお風呂セットを持って部屋を出た。


この旅館は24時間、大浴場を解放してくれている。しかも、この旅館にいる客は4人のみ。3人が寝ている今であれば、私の貸切状態が確定というわけだ。

1度女湯に入ってさえしまえば、むしろ部屋にいるより安全と言えよう。


『あれ?』


女湯、と書かれた暖簾の前に立って、私は顔を傾けた。

女将は確かに言っていた。
“ 夜の7時に、女湯と男湯が入れ替わる ” と。

要は、そのタイミングで暖簾が架け替えられているはずなのだ。しかし、何も変わっていなかった。
今日の夕方に撮影した時と、暖簾の並びは同じなのである。

もしかすると、今日は一般の客がゼロなので、男湯と女湯の交換は行われなかったのかもしれない。ならば、それはそれでラッキーだ。

今日、撮影を行ったのは男湯。私が今から入るのは女湯。両方の湯を見られるという事だから。
女将が言うには、2つの湯はかなり雰囲気が違うらしい。

私は、軽い足取りで女湯の暖簾を潜るのだった。

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