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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第53章 隣にいるのは君が良いな




『京都の高級料亭では、一見の客には まずお茶漬けを出すらしいです』

「どうして?」

『これをサラっと食べて、早く帰れ。って意味らしいですよ』

「京都こわい」

『そして再訪問してやっと、そのお店の料理が食べられるらしいです』


私達の前には、趣ある立派な門構えの料亭が聳え立っていた。場所は、渡月橋近く。お値段的にも立地的にも、高級料亭に違いない。
紛う事無き、高級料亭だ。


『電話で予約をした際は、普通の対応をしてもらえましたけど…。果たして私達は、無事に湯豆腐を食べられるのでしょうか』

「どうだろう。入ってみれば分かるんじゃない?」

『もしお茶漬けが出て来たらどうしよう…。
とりあえず店に入ったら貴方は、Re:valeの千です って連呼して下さい』

「断る」


木造りの門を潜って中に入れば、幾人かの着物姿の女性に出迎えられる。

こちらから自己紹介をしなくとも、相手側が勝手に 千の存在に気付いてくれた。そして、立派な個室に案内される。
この部屋が普段使いされているものなのか、それとも千の為に特別に用意してくれたのか。それを私達が知り得る術はない。


「それでは、すぐに湯豆腐と湯葉をご用意致しますので、少々お待ち下さい」

『……まだ注文もしていないのに、私達が食べたいメニューを当てて来ましたよ!京都人、恐るべしですね』エスパー…

「この店のメニューが、そのセットしかないんだとは思わないんだね。君は」


しばらくして、私達の前には鍋が用意された。お茶漬けが机の上に乗る事がなくて、ほっと胸を撫で下ろす。
どうやら京都人がお茶漬けを出してくる、というのは今では都市伝説のようだ。

鍋の中は真っ白で、どうやら ここで湯葉が出来るらしい。汲み上げ湯葉というものだそうだ。

私達は、湯葉の作り方のレクチャーを簡単に受ける。そしたらすぐに、女将らしき女性は退室していった。

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