第7章 どうやって僕達を、楽しませてくれるのかな?
私は扉に向かってダッシュした!
「あ!コラ春人逃げるな!」
廊下を駆け抜けるが、すぐ後ろから声がする。
「キャっ、もう何!?廊下走らないでよ子供じゃないんだから!」
姉鷺の注意も、私の耳には届かない。
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それから早いもので、2週間ほどが経過した。
あれからRe:valeの2人とは、個人的に会うなどはしていない。
百と千からは、携帯番号を教えられていたが かける事はしていない。また、向こうの方から 私の仕事携帯に連絡が入る事も無かった。
「ただいま!」
『おかえりなさい十さん』
彼は今日、百の特番に呼ばれていた。それは勿論、《Re:vale百の仲良しな後輩》だ。
「あぁ楽しかったなぁ。やっぱり百さん、話を回すのが上手かったよ!
急に呼ばれてびっくりしたけど、一緒に仕事が出来て良かった」
『そうですか』
龍之介にオファーが来た理由なら当然知っているが、私は知らぬ存ぜぬで、しらっと答えた。
「そういえば、楽。明日だったよね。クランクイン」
天に話しかけられた楽は、真剣に台本を読み込んでいる。
「あぁ。今までもドラマの仕事はあったけどな…今回のはその中でもデカイ役だから、気合い入れねぇと」
明日のクランクインには、もちろん私も同行する。
久し振りに千と顔を合わすだろう。しかしだからといって、恥ずかしがったり 動揺する事など絶対に無いと言い切れる。
彼と過ごした一晩は、私にとって さして特別な意味を持たない。
それはきっと千にとっても同じ事で。言うなれば、あの夜は彼が私に見せた夢 みたいなもの。
決して続きが見たいとか、淡い想いは残さない。お互いに。
「あ、そろそろ始まるよ。テレビ点けないと」
龍之介が、部屋のテレビのリモコンをいじる。
するとすぐに、 Re:valeの2人の姿が画面いっぱいに映し出された。