第49章 天にぃとラブラブだぁ
見慣れたセットだが、生で見るとまた新鮮だった。アイナナメンバーが続々とスタンバイする中、私は大切な事を思い出す。そして天の側へと寄った。
『天、これを忘れていました』
「え。これ…って、ちょっと、本気?」
『当然』
私が手にしていたのは、クラウンの飾り物。ライブでもないのに、これを頭に付けるのは さすがに恥ずかしいのか。天はあまり乗り気ではないようだ。
しかし、私は彼の髪へと手を伸ばす。
『王子様に、これは必須でしょう?』
「派手なライブ衣装ならともかく。この服にそれは、やり過ぎじゃない?」
『大丈夫。天なら王冠だって違和感なく装備出来ます』
「キミね…。ふふ、しょうがないな。プロデューサーには敵わないよ」
諦めたように天は、大人しく頭を差し出した。
そんな様子を見ていた陸と一織が、セット内で言う。
「いいなぁ、中崎さん。天にぃとラブラブだぁ」
「ラブラブって…!何ですかその形容は」可愛い
そして三月と大和もまた、同じくセット内からこちらを見ていた。
「あの2人って、あんな雰囲気だったか?気のせいか、親密度が増してるような…
おい、聞いてるのかよー おっさん!」
「…ん、あぁ悪い。聞いてる聞いてる。
どうなんだろうなぁ。ま、何かあったんじゃねぇの?たとえば…2人の仲がぐっと深まるような、秘密を共有した。とかさ」
「ふぅん?
いちいち難しい考え方してるよな、あんたは。ほんと、面倒臭い言い回し好きだよなぁ!あはは!」
「……このもどかしい胸の内を、どうやって消化したらいいのか分かんないよ。お兄さんは」はぁ