第49章 天にぃとラブラブだぁ
この大騒ぎだ。当然、近くで話していた天達3人も驚いた様子でこちらを見た。
兄の嬉しそうな姿を見て、目を細める一織。それとは対照的に、冷ややかな視線の天。
そして、陸が口を開いた。
「あはは!たしかに、ここに環がいたら大変だっただろうね!」
「環の奴、春人のこと異常に好きだもんなぁ。抱き着いたーなんて知られたら、1週間は恨み事聞かされちまう。
今日だって、大変だったんだぜ?あんたもここに来るって知った環の奴、何て言ったと思う? “ 今日はMEZZO"の仕事は休む ” って駄々こねてさ。
壮五が、そんなことしたら中崎さんに嫌われちゃうよーって言って、無理矢理引っ張ってったけどな」
さらに三月は、環を王様プリンで餌付けでもしたのか?と付け足した。そして腕を組んで、ため息をひとつ。
そんな彼に、私は問う。
『MEZZO"のお2人は、べつ仕事なんですね。台本にもありましたが』
「そうそう!あいつら、IDOLiSH7とMEZZO"の二足のわらじで、忙しいからなぁ」
今度は天が、大和に質問をする。それは、私もずっと気になって仕方がなかった内容だ。
もし天が聞かなかったなら、きっと私が代わりに質問していただろう。
「ところで、あれは何?」
天が指をさしたのは、この控え室の隅に置かれたロッカー。の、陰に身を潜める人物。
その暗がりには、ナギがいた。
彼はこれまで一言も発さず、ただあの隅で こちらをじっと見つめ続けていたのだった。その闇を抱えた瞳は、心底 恨めしそうである。
「あー…まぁ、あれには触れないでやって?もう完全スルーで。あぁいう生き物だと思ってさ。
ちょっと…色々あって、拗ねてるだけだから。はは…」
私には、なぜ彼があんなふうなのか 大体の予想はついていた。おそらく、天も思い当たるところがあるのだろう。
だからこそ、話しかけられなかった。しかし、あんな状態で撮影は大丈夫なのだろうか?まぁ、多分 MCを務める三月が何とかしてくれるとは思うが。
そうこうしていると、紡が部屋へとやって来る。
決して広くない控え室に、大の男が7人も居たことに面食らっていた。しかしすぐに、そろそろスタンバイお願いします!という元気な声を聞かせてくれた。