第49章 天にぃとラブラブだぁ
キミと愛なNight!は、生放送だ。やはりウェブ番組とはいえ、生は緊張する。
台本では、天に対し、プリンス賞に関する話題が多く振られる予定だ。だから、王子様を意識した衣装をチョイスした。
どうか、なるべく台本通りに進んでくれますように…
私が心の中でそう願っていた時。部屋の扉が、向こうから2回叩かれた。
「どうぞ」
「天にぃ!
わぁっ、すごい!天にぃが本当にいる!」
「…こら、陸。あまり声を張り上げないの」
もしもここが 局だったらなら。天の返した言葉はきっとこうだ。
“ 七瀬さん。ボクの事をそんなふうに呼ばないで下さい ”
しかしさすがの天も ここでは、そこまで畏まった付き合いをするつもりはないらしい。
ほんわか兄弟の空気に和んでいると、続々と他のメンバーもやって来た。
姿を現したのは5人。陸に一織、大和に三月。そしてナギ。
「七瀬さん。いくら大好きなお兄さんが目の前にいるかといって、あまりハシャギ過ぎないで下さいよ」
「分かってるって!」
「それより何。小鳥遊プロの人達は、わざわざゲストの控え室に挨拶に来るの?大変だね」
「べつに挨拶に来た訳ではありませんよ。これは、ただ七瀬さんが暴走しただけです」
「暴走って!だって 近くに天にぃがいるって思ったら、足が勝手に走り出しちゃったんだもん。仕方ないだろ?」
「陸、人はそれを暴走と言うんだよ」
天と一織と陸の会話を、側でなんとなく聞いている私。すると、大和と三月がこちらへやって来た。