第48章 《閑話》とあるアイドルの誕生日
—— 八乙女プロ / 天・楽・姉鷺 ——
「姉鷺。龍と春人は?」
「龍はソロ仕事。彼はその付き添い!」
「前に言ってたでしょ。つい1週間前の事、もう忘れたの?」
「お前の憎たらしい顔見てたら思い出したよ…!」
「ふん」
「ちょっと喧嘩はやめてよね!今日はピースメーカーの龍がいないんだから!止める人間不在の中での喧嘩は駄目」
「お前は止める気ねぇんだな…」
「それにしても、羨ましいわぁ。アタシも行きたかった…付き添い」
「??
仕事だろ?どっか地方にでも飛んでんのか?」
「ただの地方じゃないわよ!2人が今いるのはね…
お き な わ ♡」
「それは確かに羨ましいな!」
「キミも、プロデューサーと2人で沖縄に行きたかったの?」
「は?俺が羨ましいのは、沖縄行きに決まってんだろ」
「ふーん。ボクは、プロデューサーと2人で行きたかったな。沖縄」
「天、お前…最近やたらと春人にデレてるよな」
「ボクは最初から彼に惚れ込んでたよ」
「………」
(やだわ。もしかして天 この子…春人ちゃんの正体に気付いたのかしら!)
「あぁそうかよ」
「魅惑のリゾート地、沖縄!しかも帰宅予定は明日で、今日は泊まりと来てるのよ!
いつもと違う景色、旅での高揚。非現実の世界で、色々と盛り上がるのは必至!
…もしかすると2人の間に、何か ラブ 的な物が芽生えたりなんかしちゃって!あぁんっ!もう!やだぁ!」
「男同士で何がラブだ。頭大丈夫か?」
「………」
(楽は相変わらず気付いてないのねぇ。この鈍チン)
「………」
(果たして姉鷺さんは、エリの性別を隠す気があるんだろうか…)
「この季節でも、あっちはまだ暖かいんだろうな」
「多少は暖かいんじゃない?
はぁ…ボクも、行きたかったな。沖縄」