第47章 《閑話》とあるアイドルの休日
『でもまさか、楽がそこまで “ 不自由 ” していたなんて』
「不自由とか言うな」
こう改まってしげしげと言われると、また沸沸と羞恥心が湧いてくる。
どうにかして、さっき見た光景を綺麗さっぱり忘れてくれないだろうか。
『もう、やめたんですか?』
「何をだよ」
『5股…いや、6股をかける事をですよ』
「は?何言ってんだ、あんた」
春人は、時折この表情を俺に見せる。嫌悪感を滲ませ、まるで俺が、女の敵であるかのような目を向けてくるのだ。
「おい。あんたの目には、俺がそんな男に見えてんのか」
『貴方と出会ってしばらくは、そう見えていました。でも最近は、少し…違うのかもと、思うようにもなりまして。
だからこうして、直接 貴方に確かめてみようと思ったんです』
「はっ。答えるでもねぇな。俺は、そんな男じゃねぇ。むしろ、俺の1番嫌いなタイプの奴だ。
まるで、MAKAの元彼みたいじゃねえか」
『だから、貴方が先ぱ…MAKAさんの元彼氏なんでしょう?』
春人とMAKAが、知り合い?
そこにも驚いたが、俺が今突っ込むべきは、そこじゃない。
「あんた…まさか、俺がMAKAと付き合ってたとか思ってんのか?」
『違うんですか?』
「あんな野郎と一緒にすんなよ!あいつはなぁ、6股する上にギャンブル狂いなんだぞ!」
MAKAの元彼に、俺は会った事があった。
大切な友達の彼氏が そんなクズだと知った時は、一発殴ってやろうと思ったものだ。しかし それがMAKAの知るところとなり、危うく俺の方が彼女に殴られそうになったのは良い思い出である。