第2章 結成カルテッド
もしこのモンスターが魔法石を守っているのだとしたら、必ずそれを奪いに行く奴を襲うはずだ。
そう考えたは、石を奪いにモンスターの脇をすり抜けようとした。
……が、それを許すほど相手も甘くない。忽ち首をつかまれ、の体は宙に持ち上げられた。
「!」
「に……げ、ろ」
「でも!」
「はや、く……に、げろぉ!!」
「クソッ!!」
が力を振り絞って3人を鋭い目つきで睨みつけると、エース、デュース、グリムは一目散に走っていった。それを見て、少しホッとする。
しかし、だからと言って本当にこんな所で大人しく死んでやるほど、自己犠牲精神に溢れた人間ではない。
は手にしていた木片で、自分の首を絞めているモンスターの手首をぶん殴った。
その衝撃で、ほんの少しだけ手の力が緩み、その隙に体をよじって拘束から逃れる。
「グウウウ、ニガサナイ……ワタサナイ、オデノ、イシ……」
「ハッ!そんなに大切なら、金庫にでも入れてしまっておけ!!」
は一か八かの賭けに出た。の予想が当たっていれば1発逆転のチャンスだが、もし予想が外れたら殺されるだろう。
なら――そのチャンスを試さずにはいられない!!
モンスターが襲ってくると同時に、は横っ飛びに逃れた。
さっき壁に打ち付けられた背中が痛かったが、今どうこう言ってる暇はない。
大丈夫、必ず策は成る。それだけを信じ、出口に向かっては走り出した。
しかし悲しいかな運動オンチのは、すぐにモンスターに追いつかれてしまった。
出口までまだかなり距離があるし、そんなに時間を稼げていない。
万事休すか――そう思った瞬間、見覚えのある青い炎がモンスターを直撃した。
「……グリム!?」
「おう!生きてやがったな」
「感動の再会は後にしろよ、風よ唸れ!」
グリムに続き、エースの声と同時に、烈風がグリムの炎を巻上げた。
威力を増した炎は、モンスターを予想以上に苦しめていた。しかし決定打にはまだ届かない。
そこに、最後の1人が登場した――。
「集中しろ、集中……ッ!出でよ、大がま!!」