第6章 屈折プロポーズ
「エースのやつ、いったいどこに行ったんだゾ」
「謝るから出て来い、エース!」
はグリムと一緒に、ハーツラビュル寮の周辺を探していた。しかし、どこを探してもエースの姿はない。
やはり怒って自分の部屋に戻ってしまったのか……しかしそれなら、同じ部屋のデュースが教えに来てくれるはずだ。
あと、デュースの居そうな所といえば――考えた末、はグリムにその場を任せて、1人でオンボロ寮に戻った。
「……エース!」
「ん?あっ、!お前どこに居たんだよ!!」
オンボロ寮の門の前に、部屋着に着替えたエースの姿があった。
やはり全員でオンボロ寮を離れたのが失敗だった。いや、エースが機嫌を損ねてオンボロ寮を離れた――と考えたから、まさか戻ってくるとは思っていなかったのだが。
「どうして……怒って出て行ったんじゃないのか?」
「怒った?そりゃ、まあ……良い気分じゃねーけど、そんなんで出て行くほどお子様じゃないっつーの」
エースはそう言うと、いつものように悪戯っぽく笑っての額をピンッと指ではじいた。確かにその表情から、怒っている様には思えない。
「それじゃあ、どうして急に居なくなったりしたんだ?」
「いつまでもタキシード姿ってもの堅苦しいし、着替えに寮に戻っただけだよ。一応お前らに声かけたんだけど、爆笑してて誰も気づかねーし」
「それは……すまなかったな」
悪いと思いつつも、つい例の告白シーンを思い出しはクスッと笑ってしまった。するとエースがブスッと不機嫌そうに顔を歪めた。