【R-18】バリケードの内側で【ウーユリーフの処方箋】
第2章 初めての…【ミト&ノゾミ】
「…ミト!!」
目だけを声のした方向に向けると、トレーラーハウスの入り口にミトが立っていた。
いつも通り静かだが、明らかに怒っている。
ミトの姿を確認すると、ノゾミは深いため息をついて私の上から退いた。
これで、助かった…
「ミト、ありがと…」
「約束と違う」
「え?」
約束?何のことだろう。
「すみません、我慢できなくてつい」
悪びれる様子もなくノゾミは笑う。
「まだ耳しか戴いてませんから許してください」
「耳もダメ。抜け駆け禁止だった」
「うーん…じゃあ、仕方ないのでメイさんの初めてはミトさんにあげましょうか」
「…初めて?」
「メイさん処女だそうですよ」
「そっか」
私を置いて話がどんどん進んでいく。
どういうこと?私の初めてをって…
もしかして。
「ミト、助けてくれたんじゃ…」
「違う」
「なんで…」
「俺たちみんな、メイさんのことが好きなんですよ。みんな貴方を抱いて自分のものにしたいと思っています。でも、全員がライバルだって知ってるのは多分俺たちだけです。キリオは察しがいいから気付いてるかもしれないですけど」
「キリオは優しいから、きっと君を無理やり抱くようなことはしない」
「そうです。この計画に誘ってもよかったんですけど、猛反対されるのが目に見えてますから。なので、マツリやカナタまで全員がライバルだって知って険悪になる前に、俺たち二人で仲良く抱いてしまおうということになりました」
「そんな…」
さっきより何倍も状況が悪くなってしまった。
まさかミトまでそんなことを考えているなんて。
「ごめんね。でも、大事にする」
絶望して呆然とする私をミトが軽々と抱き上げ、優しくベッドに下ろす。
「ミトさんも意外と力持ちなんですね」
「普通。メイちゃん軽いし」
まったく緊張感のない会話をしながら上の服を脱いでいく二人をどこか他人事のような気持ちでボーっと見つめ、私は自分の貞操にそっと別れを告げた。