【R-18】バリケードの内側で【ウーユリーフの処方箋】
第2章 初めての…【ミト&ノゾミ】
「ちょっ、ノゾミ…っ」
もしかしなくても、大変まずい状況になってしまった。
慌ててノゾミの身体を押し退けようとするが、思っていたより力が強くてびくともしない。
ドンドンと胸のあたりを叩いてみても意に介さないようだ。
「メイさん」
そっと頬に手が添えられて身体を強張らせると、ノゾミは優しく微笑みかけてくる。
「痛くはしませんから、どうか受け入れてください。俺のこと」
「やだ…っ」
痛いのも怖いけど、そういう問題ではない。
こういうのは恋人同士がすることだと思うし、ましてや私は処女なのだ。
私だって乙女の端くれで、初めては恋人にあげるものだと漠然と幻想を抱いていた。
こんなところで散らされたくはない。
「ノゾミ、こういうのは恋人同士で…っ」
「…あぁ、そんなことを気にしているのですか」
「『そんなこと』って、」
「俺は体の関係から始まる恋もありだと思いますけどね。…それともメイさんは俺のこと、嫌いですか?」
「…嫌いじゃないけど、」
急に悲しそうな顔をするので、うっかり口に出してしまう。
良心を痛ませている場合ではないのに。
「それはよかったです。…うんと可愛がってあげますから、覚悟してください」
「…っ!」
再び欲をはらんだ眼差しに射止められて目を離せなくなり、抵抗する力が弱ったとたんにまた綺麗な顔が近付いてきて、反射的に目を瞑ってしまうとおでこに柔らかな感触が当てられる。
ちゅ、と軽いリップ音がしたかと思うとそのまま目の横、頬とゆっくり移動していき、最後に耳に優しく口づけられると身体が勝手にビクンと跳ねた。
「ノ、ゾミ…やだ…」
「耳、弱いんですね」
「違うっ……ひっ!」
ぬるりとしたものが耳に這わされ、悲鳴のような声が漏れる。
にゅるにゅるした感触とゼロ距離で聞こえる水音がまた頭をふわふわさせて、思考力を奪っていく。
「っふ…ぅ…っ」
全身がゾクゾクして力が入らない。もはや抵抗などできていないに等しい。
…このまま私、抱かれちゃうのかな。