【R-18】バリケードの内側で【ウーユリーフの処方箋】
第2章 初めての…【ミト&ノゾミ】
「適当に座ってください」
と促されたが、何分あまり広くないのでベッドとソファーくらいしか選択肢がない。
いきなり人様のベッドに座り込む度胸はなかったので、とりあえずソファーの方に腰かける。
私が座ったのを確認するとノゾミはローブをハンガーに掛けてから私の隣に座った。
緊張しているせいなのか、ドキドキが治まらなくて少ししんどい。
ポカポカと心地よかった体温は、そろそろ暑いくらいになってきた。
なるべく早くここから出たかったが、「相談事」の内容が怖くてなかなか口を開けない。
誘ってきたはずのノゾミはというと、こちらも無言でじっとこちらを見るばかりで言葉を発しない。
…じっと見られると余計に緊張する。
「…あの、私の顔に何か…」
ついにいたたまれなくなって話しかけてしまった。
「……貴方は本当に可愛らしいですね」
「うぇっ?」
突然投げかけられた言葉の意味がとっさに理解できず、間抜けな声が出てしまう。
…今、ノゾミ、なんて…
可愛らしいって、確かに、そう聞こえた。
でも、ノゾミはよく私をからかってくる。
今回も同じで、ただからかっているだけかもしれない。
「えっ、なん…え?からかってる…?」
「俺は真剣ですよ。冗談にしてほしければ冗談にしますけど」
じっと私の目を見ながらいたずらっ子のように微笑むノゾミから目を離せなくなる。
なんで、なんで。私をからかって笑うのはいつものことなのに。
顔が、身体が熱い。
「俺が何でいつもメイさんをからかうか分かりますか」
「わ、かんない…」
「よく言うでしょう」
端正な顔が近づいてきて、
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「好きな子には意地悪したくなるって」
耳元で低く囁かれたと同時に、私の背中はソファーの座面に触れていた。