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【R18】家政婦の記録簿【うしさせ】

第2章 センラ


咄嗟にそう思った。欲情した彼に乱暴に頭部を支えられて、抵抗を許されないというように強く唇を押しつけられれば、めちゃくちゃに彼の意のままに抱かれる未来が予想出来て、体が熱くなった。

わずかに抵抗をみせていた彼の胸に置いた手の力がぬける。そのまま、ダラリとベッドへもたれれば即座にセンラさんの唇が離れた。
無抵抗な自分をみて、苦しそうに顔を歪ませる。

「あかん。ちょっと、頭冷やしてくるわ」

それだけ言って、彼はサッサと部屋を退出していってしまった。

(え?どうして?)

遠くから聞こえるシャワーを流す水の音。しばらく止まずに聞こえ続けるその音に耳を傾けながら、呆然と時間だけが過ぎていく。

結局、彼が部屋に戻ってきたのは契約終了時間まで三十分をきった頃だった。

「少し早いけど、あがってえぇよぉ。身支度しときぃ〜」

そんなのんびりとした声を聞けば、もう彼が私と体をあわせるつもりがないということを悟る。やはり人目を引くほどの美人、というわけでもない自分では魅力に欠けるということなんだろうか?

改めて、この世界のシビアさを体感した気がした。トップモデルのような美を取得していなければ、客を満足されることすら難しいのだ。

細々と片付けを済ませながら、どんどん自分が落ち込んでいくのがわかる。もういっそのこと、昼の仕事だけに戻してもらおうか?そんな風にも考えた。

「今日はありがとうございました」

終了までちょうど二十分前。全ての身支度を整えた私はセンラさんへ深々とお礼をする。

「こちらこそ。今日は来てくれてありがとうなぁ」

この良い声ともお別れかぁ。
そう名残惜しく思いながら、まじまじと正面にいる彼を見つめた。
はじめは少し怖くて得体の知れない印象だったのに、自然体の彼の笑顔にふれてからというもの、力の抜けたその笑みがみたくてたまらない。
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