第2章 センラ
長い時間、角度を何度も変えながら交じり合った唇が離される。ようやく、深い呼吸ができた。体の中に十分な酸素を求めて、彼の胸もとに倒れこみながら何度も荒く、息を吸う。その度に彼の香水の匂いが体に取り込まれた。
「もしかして、キスもまだやったん?」
含み笑いをしながら、センラさんがそんな質問を投げかける。胸にもたれたまま小さく頷けば「やからかぁ。たどたどしぃなぁ」と言って、俯いた私のあごに手をそえた。
促されて上へと顔を上げれば、彼の楽しそうな笑みに出会う。
「口。あけてみぃ?」
言われるがまま、わずかに口を開けばセンラさんの親指が中へと突っ込まれる。
「そのまま、舌だしてみて」
なにを、されるんだろう?
そんな疑問も、高揚感からすぐにかき消され。言われるがまま、ゆっくりとベロの先を外へと出した。
私の舌が顔を出したのを確認した彼は親指を素早く抜いた。
そして、私の舌を舐めとるように。絡めとるようにセンラさんの舌がのせられる。
「ンッ、んぅッ!…ッはぁ…ん、んっ」
センラさんの舌が、私の口の中の奥にまで伸びる。自分の舌に絡まりながら。それだけでわかる。彼の舌が人よりも長めなんだということが。
彼の舌が動くたびに、甘い刺激が身体中を貫いて。喘いだ。塞がれた口から声が、もれた。
一度、なぞって彼はすぐに唇を離す。
「どやった?気持ちわるない?嫌や、ない?」
そう言ってまた、私の顔色を伺う。こんな時まで、この人は私に気をつかうのか。
大きく、かぶりを振って彼の首に手をまわす。
「気持ち…いぃ」
そんな言葉を口に出すのは本当はすごく恥ずかしい。けど、ちゃんと言葉にして伝えないと。きっと彼はまた遠慮するから。身を、ひいてしまうから。
「もっと。いっぱい、ください」
ふふっと笑う声が耳をくすぐった。
「おねだり、上手やねぇ」